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日本酒がインド市場へ進出?GI認定と輸出手配における注意点

商船三井ロジスティクス 広報チーム

2024年4月、日本酒がインド政府によってGIGeographical Indication)認定を受けました。これにより、インドへの日本酒の輸出に関するハードルが一気に下がりました。この記事では、インドへの日本酒輸出がどのようにハードルが下がったのか、また実際に出荷する際の注意点やインドでのお酒需要について解説します。

 

<GI認定とは?なにが変わった?>

GI登録とは、地理的表示(GI: Geographical Indication)のことで、その地域ならではの自然的、人文的、社会的な要因の中で育まれてきた品質や社会的評価等の特性を有する産品の名称を、地域の知的財産として保護する制度です。お酒についても酒類の地理的表示制度があり、地域の共有財産である「産地名」の適切な使用を促進するものとなっています。詳しくは国税庁のウェブサイトをご覧ください。

国税庁: 地理的表示制度について

インド政府:GI登録申請詳細

 

これまでの背景

インド食品安全基準局(FSSAI)は、2020年に制度変更を行い、インドの食品規格に当てはまらない食品〔規格外食品(proprietary food)〕の輸入に際し、ISO 17025に準拠した成分分析証明書の添付を義務付けました。日本酒は規格外食品に該当するため、日本国内で対応可能な分析機関がなく、事実上輸出が困難な状況にありました。

しかし、在インド日本大使館と国税庁による継続的な協議の結果、202441日付で地理的表示(GI)に「日本酒」が登録され、GI登録証明書を添付することで成分分析が不要となり、輸出が可能となりました。

 

<日本酒輸出における留意点>

GI認定により手続きが一部緩和されたとはいえ、輸出準備は依然として大変です。以下に留意点を挙げます。

  1. ラベル
    • お酒の表ラベルに「Nihonshu」または「Japanese Sake」と表示する必要があります。記載がない場合は、ステッカーを貼り付けることで要件を満たすことが可能です。(※ステッカーは取り外し不可のものであること)

    • インドへ日本酒を輸出する際は、ラベル表示に関する規定を遵守する必要があります。詳細はこちらの規定文をご確認いただくことをおすすめしますが、今回は特にお酒に関する警告表示について抜粋してご案内します。
      お酒のラベルには、以下の警告文を掲載することが義務付けられています。基本的には英語で印刷する必要がありますが、インド国内の各州の要望に応じて地域の言語で印刷することも可能です。その場合、英語版を併記する必要はありません。 
      また、アルコール飲料のラベルには、カロリー以外の栄養情報を記載してはいけない事となっております。加えて、健康に関する主張を記載することはできません。 

      (ガイドライン出典:FSSAI「Food Safety and Standards (Alcoholic Beverages) Regulations, 2018」)


    • また、お酒か否かにかかわらず、表示ラベルはインド食品安全基準局規定に沿ったものになっている必要があります。詳細についてはこちらのガイドラインをご確認ください。
      (ガイドライン出典:ジェトロインド食品安全基準(ラベル表示および表示)規則 2019(仮訳)」 

  2. インボイス
    • 品名に「Nihonshu」または「Japanese Sake」と記載する必要があります。
  3. その他の必要書類
    • 通常の通関書類(インボイス、パッキングリストなどの船積書類)に加え、GI登録証の写しが必要ですので忘れずに添付してください。また、場合によっては成分表も求められることがあります。
      eographical Indications | Intellectual Property India より)
  4. ランダムなサンプル検査
    • インド税関ではランダムなサンプル検査が実施されます。検査項目としては以下の通りですが、場合により項目が追加される可能性もあります。なお、こちらの検査には費用が発生しますので、追加費用が発生する可能性についてご留意ください。

出典:国税庁「インドにおける日本酒輸出に係る手続・要件」


 

<インド市場で日本酒は浸透するのか?>

GI登録によってインドへの輸出ハードルが大幅に下がったことは前述の通りです。しかし、実際に日本酒がインド市場で浸透し、売れるかどうかはまた別の課題が存在します。

 

日本酒の国際的な人気とインド市場の現状

(出典:国税庁「最近の日本産酒類の輸出動向について」)

日本酒の海外輸出量はこの10年で約4倍に増加しており、特にアメリカ、中国、韓国といった主要輸出先で高い人気を誇っています。一方、インドはこれまで輸出規制があった影響もあり、輸出先としての実績はほとんどありません。

インドは人口の約79.8%がヒンドゥー教で、伝統的に飲酒が好まれない文化がある一方で、世界第9位のアルコール消費大国です。この矛盾は、経済成長や都市部を中心とした価値観の多様化によるものと考えられます。特に富裕層や若年層を中心に、新しい嗜好品としての日本酒に潜在的な市場価値が期待されています。

 

日本酒普及の課題

  1. 高関税
    インドでは、日本酒に150%もの関税が課されており、価格競争力の確保が難しい現状があります。このハードルを克服するには、現地生産の検討や現地消費者に特化した商品の展開が求められます。
  2. 低い認知度
    日本酒はインドでの知名度が低く、その価値や飲み方に対する理解が十分に広がっていません。これに対して、日本の酒造メーカーは、インドのスパイス料理に合うお酒の研究や、現地での試飲会、PRイベントを積極的に展開しています。
  3. インド人の食文化に合うか
    インドでは人口の約25~30%がベジタリアンで、食品の原材料に対する関心が非常に高いことで知られています。そのため、よくわからないものは口にしません。
    日本酒の輸出においては、「ビーガン認証」を取得することで、原材料に対する信頼性を高めることが成功の一手になるかもしれません。この認証は特に、ベジタリアンやビーガン志向の消費者にアピールできるだけでなく、健康志向や環境意識の高い富裕層や若年層にも効果的なプロモーションとなると考えられます。
    (参考:ジェトロ「インドにおけるベジタリアン・マーク表示制度基礎調査(2015年3月)」)

 

ユネスコ無形文化遺産登録による追い風

202412月、「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。これにより、日本酒は単なるアルコール飲料ではなく、日本の伝統文化の象徴として国際的な評価を受ける存在となりました。この認定は、インド市場をはじめとする海外市場で日本酒の価値を訴求する上で大きなアピールポイントとなります。

(出典:国税庁「ユネスコ無形文化遺産「伝統的酒造り」について」)

 

 

国税庁の輸出支援:補助金制度の活用について

日本国内では、国税庁が酒類輸出を支援する補助金制度を設けており、酒造メーカーが海外進出を進めやすい環境が整えられています。(補助金制度は定期的に公募が行われています)

この制度を活用し、インド市場でのマーケティングや販売活動を強化する動きも見られます。

(参考:国税庁「補助事業について」)

インド市場の開拓には多くの課題があるものの、経済成長や多様化する消費者ニーズを捉えた取り組みが、日本酒の新たな可能性を切り拓く鍵となるのではと考えております。

 

<インドへの日本酒輸出なら当社へお任せください>

さて、本日はインドへの日本酒輸出に関連した解説をしましたがいかがでしたでしょうか?

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執筆者:商船三井ロジスティクス 広報チーム

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